貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。第75回は「初めての入院」です。
嫌な予感がした
5年前、人生で初めての入院というものをした。
最初は酷い下痢と、長時間におよぶ激しい腹痛だった。その症状は前にも経験したことがあり、「急性胃腸炎だ」と体感でわかった(その時は入院せず、点滴しただけで帰された)。
近くのクリニックを受診するも、座っていることも難しく、処置室のベッドの上でなんどものけぞりのたうち回った。点滴を受けて帰宅したが、まだお腹が痛く真っすぐ歩くことができなかった。帰宅後、また夜に激しい腹痛がぶり返し、大きな病院に入院することになった。
当時私は転職活動が難航し、日雇いの派遣で食いつないでいる状況で、とにかくお金がなかった。腹痛の原因は分からなかったが、医者によると急性胃腸炎だろうということだったので、1日で自己都合で退院した。しかし、退院するとき、治まっていたはずの腹痛が少しぶり返し、何だか嫌な予感がした。
しかし、その日の午後、病院から電話がかかってきた。血液検査の結果、肝臓の数値が基準値を大幅に超えている。今すぐ入院する必要がある、という。
準備があるので今すぐは難しい、と言うと、明日のあさイチで来るように、と言われた。洗濯物の準備をしていると、みぞおちから背中にかけて痛み始め、徐々に鋭い痛みにかわり、冷や汗が出てくる。これはまずい、と思った。