年齢を重ねると理由もなく悲しくなったり、落ち込んだりすることが増えます。それは感情の老化が原因かもしれません。心の平穏を保つための考え方を伝授します(構成=本誌編集部 イラスト=きじまももこ)
8人に1人が「老人性うつ」に
日本が世界有数の長寿国であることは、みなさんもご存じでしょう。2023年厚生労働省の「簡易生命表」によると、日本人男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.14歳。50年には男性が84歳、女性が90歳を超えるとも予想されています。
一方で、内閣府が行った意識調査によると、約7割の人が「自分や配偶者の健康や病気のことが不安」と回答している。この2つの結果からわかるのは、寿命が延びて自由な時間が増えているのに、有意義に使いこなせず負の感情を抱えながら過ごしている人が多いということ。
実際、65歳以上の高齢者の31.7%が気分障害(うつ病、双極性障害など)で、8人に1人が「老人性うつ」を患っているという報告があるほどです。脳も体と同じく老化します。そのため若い頃より感情をコントロールするのが難しくなるのでしょう。
確かに、大切な人を見送ったり、年金だけでお金が足りるのかと考えたりすると、気分が落ち込み、不安になるのもわかります。食が細くなったり、体が動かなくなったりすると、老いを感じてショックを受けることもあるでしょう。
けれど、こうした不安の原因のほとんどは、自分の中にあります。ですから、物事の考え方や心の持ちようを変えるだけで、少しずつ解消できるのです。