2023年に総務省が発表した「統計トピックス」によると、70歳以上の人口は2899万人でした。そのうち、75歳以上は2005万人と、初めて2000万人超えを記録。寿命が延びた今、歳を重ねてからの暮らし方は、以前よりも選択肢が広がっているはず。70歳、80歳を過ぎても、自分らしく、楽しく、元気に暮らすシニア12人に取材した『70歳をすぎたら、もっと 自分らしく食べて豊かに暮らす』より、葉山で飲食サービスや古民家離れ宿を営業する“桃花源“主宰の伊藤千桃さんの暮らし方について、一部抜粋してご紹介します(取材・文◎野中ゆみ 撮影◎後藤さくら)

生まれ育った葉山の家を大切に

逗子駅から海沿いの道を進み、信号を曲がって急峻な路地へ。それまでの海の景色は一変し、木々が生い茂る山の麓に入ったところに伊藤千桃(ちもも)さんの家はありました。

風情ある小さな木製の門をくぐると正面には日本家屋、右手へ目をやれば、なだらかな斜面に緑の庭が広がっています。

そして、その向こうにある洋風の建物から手を振って、伊藤さんは出迎えてくれました。

「あちらの離れ(日本家屋)は、民泊施設として貸しているの」。聞けば、離れはかつてお母様が暮らした家だそうです。

今は、薪ストーブを配した土間がある素敵な古民家にリノベーションされています。

『70歳をすぎたら、もっと 自分らしく食べて豊かに暮らす』(ナツメ社)