「2021年に私独自のそうめんの調理法〈そうめんゆでるな!〉を紹介すると、若い人は《バズる》と言うんですか、再生回数が飛躍的に伸びたのです」川原恵美子さん(写真提供:川原さん)
個性的なそうめんの調理法を伝える動画が話題になった川原恵美子さん。朗らかな笑顔やおっとりした口調が魅力的な川原さんですが、幼い頃から苦労の絶えない人生だったと言います(構成:今津朋子 写真提供:川原さん)

初めての投稿動画は再生回数20回

チャンネル名:恵美子さんの料理帖~川原おばあちゃんの知恵袋~

香川県仲多度郡まんのう町、田んぼや畑が広がる自然豊かな土地に私の店、「田舎そば川原」があります。還暦を過ぎた頃に開店したので、もう20年近くやっていることになりますね。

今から5年前、74歳のとき、思いがけずユーチューバーになりました。私は子どもの頃から料理が大好き。経済的に恵まれないなかで、お金をかけずおいしく食べる工夫を重ねながら、大家族の家事を切り盛りしてきました。

そうして書きためてきたレシピを次の世代に残したいと考えていたところ、常連客の一人が、ユーチューブで公開することを勧めてくれたのです。

当時はパソコンを持たず携帯もガラケーで、ユーチューブがなんなのかもまったく知りませんでした。でも、「なんだか面白そう!」と思い、その常連さんの力を借りながら、見よう見まねで収録したのです。

最初の動画は「みょうがの甘酢漬け」で、再生回数は20ほど。私は20人もの人が見てくれたことが嬉しくて、漬け物や保存食、煮物、昔ながらのおやつなどの作り方を次々に紹介していったのです。すると再生回数が徐々に増えていきました。

2021年に私独自のそうめんの調理法「そうめんゆでるな!」を紹介すると、若い人は《バズる》と言うんですか、再生回数が飛躍的に伸びたのです。

どのような方法かというと、沸騰した湯にそうめんを入れ、再度沸騰したら、そこで蓋をして火を消して5分待ちます。余熱で火を通して氷水にさらすことで、時間が経ってもくっつかず、粘り気が出ない、おいしいそうめんができるのです。

この動画のおかげであちこちから取材され、レシピ本が出版されたり、テレビに出演したりすることになりました。遠くからおそばを食べにきてくださるお客さまも増え、その方たちと会話するのも楽しい日課になっています。

でも、ここに至るまでにはずいぶん長い道のりがありました。