内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人の死因では、老衰を除けば悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患が多くなっています。そうした状況のなか、高齢者の異状死の特徴を研究しているのが、法医学者の高木徹也さんです。今回は高木さんの著書『こんなことで、死にたくなかった: 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
定年退職後に死ぬ
高齢男性が、自室で黒っぽい血液を吐いて亡くなっているのが発見されました。
身体が黄色く、部屋に空になったお酒の容器がたくさんあれば、その状況だけで私たちは「アルコール性肝硬変にもとづく食道静脈瘤破裂」と判断します。
亡くなった人は「アルコール依存症」で、昼夜問わず飲酒していたのでしょう。
こうして亡くなった人たちの部屋には、30年前は日本酒の瓶、25年前は日本酒の紙パック、20年前からは焼酎の大きなペットボトルに変わり、最近ではアルコール濃度の高いレモン割り缶チューハイが多く転がっているようです。