「毎日歩く習慣がある人は、それだけで認知症をはじめとする生活習慣病の大半を予防できる」町医者を30年、臨床医を40年務めた長尾和宏さんはそう断言しています。さらに長い距離を速く歩く必要はなく、スキマ時間にちょこまか歩くだけで十分であると言います。なぜ歩行が認知症予防にきくのか、その医学的な理由と、効果的な歩き方を教える書籍『歩く人はボケない 町医者30年の結論』より一部を抜粋して紹介します。
90歳前後の4人組から学んだこと
あるとき、ゴルフ場で90歳前後の男性4人がプレーをしていました。
男性の場合、90歳といえば男性の平均寿命をとっくに超えていますので、亡くなっていてもおかしくない年齢です。
ご存命だとしても、要介護状態で老人ホームなどに入っている人が多い年代です。
ところが、ゴルフ場には90歳前後の4人組がいるのです。年齢を合計すると360歳を超えています。
90歳前後の4人のパーティが私たちの前にいて、ワイワイ言いながら回っています。
カートに乗りますが、フェアウェイの中やグリーンが近くなるとカートから降りて自分の足で歩かなければいけません。
目の前の90歳前後の人たちは歩くどころか、小走りに走っているのです。「何なんだ、この光景は?」と思ってしまいます。
ゴルフ場とは、1ラウンドで10キロメートルくらいを数時間かけて移動する場所です。カートに乗りますので、10キロまるまる歩くわけではありませんが、できるだけカートを使ったとしてもかなりの距離を歩きます。
足腰と心肺機能が丈夫な人でないと、ゴルフはできません。