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日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマが展開していく中、江戸時代の暮らしや社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「幕臣」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

上級者が旗本、下級者が御家人?

これまでこのコラムでは『べらぼう』と関係する人物として田沼意次の父や大田南畝らに言及してきました。

彼らはもちろん将軍の家来である“幕臣”です。

この幕臣、ぼくは「上級者が旗本、下級者が御家人」と習った憶えがあります。

旗本は将軍との目通り、すなわち直接の対面が許可される。御家人はお目見え以下、といい、謁見することができない。

人数は旗本が5000人ほど、御家人は1万5000人。石高はバラツキはあるものの、御家人は100石以下、とイメージしていました。

その中で、ぼくが強烈な印象を持っている名称があります。