2025年、日本選手権と世界陸上で女子20km競歩の日本新記録を樹立した、競歩選手の藤井菜々子さん。その活躍から、日本陸上競技連盟の年間最優秀選手に選ばれました。今、大注目のアスリートの素顔は――(構成:山田真理)
わずか数cmの差を勝ち切って
毎年1年の初めには、目標を立てています。昨年は、「世界陸上で今年こそメダルを取る」。34年ぶりの東京開催なので、多くの方に応援していただけることを励みにしていました。
社会人アスリートとして8年目に入りますが、年末年始は福岡の実家に帰省していません。今は2月に行われる日本選手権の前なので、体調に気をつけつつ黙々と練習しています。
昨年の今頃は、練習内容が充実していたこともあり、大会には自信を持って挑むことができました。結果は1時間26分33秒で、日本新記録。26分台は、世界大会で十分に戦える指標の1つです。このタイムを出せたことが自信になり、「次はメダルを狙います!」と宣言できるようになりました。
そうして迎えた9月の東京世界陸上の女子20km競歩は、序盤からハイペースな展開でスタート。先頭集団を作る1人として歩き、自らの日本記録をさらに更新して銅メダルを獲得することができました。4位の選手とはわずか数cm差。メダルへの強い思いがあったからこそ、逃げ切れたのだと思います。
試合直後は、積み重ねてきたことがやっと実って、ホッとする感覚が強かったです。日本女子競歩では初のメダルとなり、大きな反響をいただきました。