イラスト:イトガマユミ
東京消防庁の調査(令和6年)によると、救急搬送の原因で「ころぶ」事故は最も多く、40代を超えると5割以上を占めています。また65歳以上の「ころぶ」事故の約4割が入院が必要になっているという結果に。思わぬことが招いた惨事。リハビリを経て取り戻したのは、健康だけではなかった――。田上ケイコさん(仮名・神奈川県・自営業・59歳)は、外出先で階段を踏み外し、左脚を骨折して入院することになったそうで……。

救急車で運ばれ、深夜の緊急手術

所用で訪れた千葉県の公共施設で階段を踏み外し、左脚の脛を開放骨折したのは2025年の秋のこと。転んだ瞬間に「折れた」とわかったので、近くにいたスタッフさんに救護の人を呼んでもらい、初めて救急車のお世話になった。

が、大変だったのはそこから。救急車に乗ったはいいが、搬送先がいっこうに決まらないのだ。ケガをしたのが土曜日の夕方だったため、どこも整形外科医が不在で、緊急手術に対応できないというのがその理由だった。

出血は少量で痛みもさほど感じなかったものの、「お断り」が10軒を超えたあたりで「これからどうなっちゃうんだろう?」という焦りから心臓がバクバクし始めた。なにせ救急車は、到着してから1ミリも動いていないのだ。

そんななかでも救急隊員さんたちが(女性1人、男性2人。超余談だが、全員ドラマに出てきそうな美女とイケメンだった!)、「不安ですよね。でも大丈夫ですよ。絶対に私たちが受け入れ先を見つけますからね」と励ましてくれるのがありがたく、なんとか平常心を保つことができた。

断られ続けること1時間半。ようやく引き受けてくれそうな大学病院が見つかった。ただし、その病院には直前に心臓疾患の患者さんが救急搬送されており、その人が手術を要した場合、私の受け入れはできないという。

「じきに検査結果が出るので10分後に再度問い合わせを」との言葉に、「何とぞお願いします!」と4人で祈ったことは言うまでもない。