(写真提供:Photo AC)
内閣府が公開した「令和7年版高齢社会白書」によると、令和6年10月1日時点での65歳以上人口は3624万人で、総人口に占める割合は29.3%だったそうです。高齢者医療の現場に長年携わる精神科医・和田秀樹先生は「仕事や子育ても一段落したいまこそ、他人の目など気にせず、好きに行動すべき」と語ります。そこで今回は、そんな和田先生の著書『これだけでいい!老けない!ボケない!和田式「アウトプット健康法」』より一部を抜粋してお届けします。

知らない店に飛び込む「小さな冒険」の大きな意義

私は、散歩の途中で「新規オープン」の張り紙を見つけると、できるだけのぞいてみるようにしています。

まだ客もまばらで、店主もどこか緊張している。メニューも手探り状態。そういう“出来たて”の店には、独特の新鮮な魅力があります。

もちろん、なじみではない店に入るとき、人は無意識に構えます。

どんな味だろうか。店の雰囲気はどうだろう。値段は高すぎないか。

こうした小さな緊張や予測は、前頭葉を刺激します。脳は「いつも通り」よりも「少し違う」状況でよく働くのです。

もちろん、なじみの店にも大きなメリットがあります。安心してくつろげるうえ、店主や常連客との会話が生まれやすく、必然的に「話すアウトプット健康法」で得られる脳、前頭葉を活性化させるというメリットも享受できるわけです。

私自身、事務所の近くにワインを持ち込める店を何軒かキープしています。夜、原稿を書き終え、「今日はいい仕事をした」と思えた日は、とっておきのワインを片手に、なじみの店へ向かう。そして、私の顔を見ただけで、やさしい笑顔で「毎度」と迎え入れられる関係性に、心が温まるのも事実です。

しかし、だからこそ、ときどき“新顔”の店を混ぜたくなります。

新しくできた店に早い段階で足を運び、店主と少し話をする。どんな思いでこの店を始めたのか、どんな料理が得意なのかを聞く。

まだ流行る前に通い、人間関係を築くと、店が人気店になったあとも、融通をきかせてくれることがあります。これは、「話す」アウトプットの思わぬ副産物と言えるでしょう。