3歳で来日し、16歳で歌手デビューしたジュディ・オングさん。2026年10月15日には「ジュディ・オング歌手生活60周年記念コンサート」を予定している。1979年に「エーゲ海のテーマ~魅せられて」が200万枚を超える大ヒットを記録し、羽のように広がる純白の衣装も注目を集めた。輝かしい芸能活動の傍ら、木版画家としても活躍。歌や芸術に対する情熱、活動の原動力――。時代を超えて強く生きるための秘訣とは?
(構成:丸山あかね 撮影:本社 奥西義和)
(構成:丸山あかね 撮影:本社 奥西義和)
「魅せられて」は女性解放ソング
歌手としても活動しなさいと勧めてくださったのは音楽プロデューサーの酒井政利さんです。そして、提供されたのが、阿木燿子さん作詞、筒美京平さん作曲の「エーゲ海のテーマ~魅せられて」だったのです。1979年、29歳の時です。最初に聴いた時、なんて難しい歌なのかしらと思いました。ちょっと油断すると出遅れてしまうし、音域が広いし、自分の声に酔いしれていると音痴になるし(笑)。何万回も歌ってきた今でもすごく緊張します。
それから「好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る」という歌詞にドキッとして、阿木さんに「どうやって歌ったらいいのですか?」と尋ねました。すると「しゃあしゃあと歌えばいいの」と。それで「それが何か?」という感じで淡々と歌うことにしたのです。ガッツ石松さんから「君は何を考えているんだ」と言われたことが印象的に残ってますね。私はそれまでアイドル路線だったので、世の男性をがっかりさせたのではないでしょうか。
でも、それも覚悟の上でした。阿木さんが作詞に込めた思いを知ったからです。それは、世の女性たちにもっと男性と対等に向き合って欲しいというもの。当時、「OL」という言葉が広がった頃でしたが、女性が社会進出して、自分の欲しいものは自分で買えるのよと胸を張って、自分が女性であることに誇りを持って生きてほしいという思いから生まれた「魅せられて」は、いわば女性解放ソング。阿木さんが「女性だって夢を見る自由があるし、夢見るだけならいいじゃない? と同世代のジュディに歌わせてみたかったの」とおっしゃるのを聞いて、期待に応えたいと思いました。