睡眠をとったあと、脳や身体に何が起こるのか
脳の疲労を回復させるには、良質な睡眠をとることが最適な方法です。
では、睡眠をとった結果、我々の脳や身体に何が起こるのか。これに関しては、脳の疲労回復以外にも多くの研究成果があり、いろいろなことがわかっています。
・脳の老廃物(アミロイドβ)が排出される
睡眠をとることによって、脳内の老廃物が除去されます。アルツハイマー病の原因物質と呼ばれているアミロイドβは、脳内に蓄積されたものが、睡眠時に神経細胞の隙間を流れる脳脊髄液によって洗い流されるといわれています。実験動物を強制的に眠らせない断眠実験では、アミロイドβの蓄積が増えていくことがわかっています。
・日中に学習した内容が書き込まれ、保存される
私たちの脳は、起きている間に学習した内容や体験した出来事を、そのまますべて記憶しているわけではありません。そうした情報を整理し、「長期記憶」として脳の中に書き込み、保存するのも、睡眠中に行われていると考えられます。いわば、脳の中で情報の整理整頓が行われているのです。
学習などを行うと、脳の中では、そのとき使った脳のネットワークにシナプス(神経細胞間の接合部)が新しくつくられたり、神経線維が増えたりする、「可塑的」な変化が生じます。脳は経験によって、自分自身の回路をつくり替えていくのです。
ただし、脳は筋肉とは少し違います。筋トレでは、筋肉をたくさん使って筋繊維を損傷させ、それを回復させることで、さらに機能を強化することができます。しかし脳には、そうしたシステムはありません。
その代わり、脳では睡眠中に、必要なネットワークの固定と、不必要なネットワークの削除(刈り込みといいます)が行われることが知られています。この刈り込みによって、脳は効率よく働ける状態を保っているのです。
つまり、脳を成長させるためには、頑張って使うだけでは不十分です。しっかり眠って、脳が情報を整理し、回路を再構築する時間をつくらなければなりません。
日中にしっかりとオンの状態をつくり、夜間のオフの状態のときに、効果を固定する。オンとオフを使って強化する点では、筋トレと脳トレのメカニズムも、実は大きな目で見ると似たようなシステムなのかもしれません。