(取材・文:婦人公論.jp編集部、撮影:本社 奥西義和)
『蝉しぐれ』でデビューから21年
今の事務所にスカウトしていただき、最初のお仕事が2005年の映画『蝉しぐれ』でした。撮影現場で大人の皆さんがそれぞれの仕事に真剣に向き合っている姿を見て、とても感動したんです。完成した作品を見た時には「みんなで力を合わせると、こんな作品が生まれるんだ」「私は映画の現場に携わっていきたい」と強く思いました。今でもこの作品が私の原点です。
俳優でも「主役をやりたい」とか「世界で活躍したい」とかいろんな目標があると思いますが、私は、「みんなで一つのものを作り上げる」ということが好きなんです。
デビュー20周年を記念して全国4ヵ所で開催した「佐津川愛美映画祭」をきっかけに、子どもたちに映画づくりを体験してもらうプロジェクト「映画と仲間 filty(フィルティ)」を2025年に立ち上げました。私たちが一つ教えると、みんなあっという間にいろんなことができるようになる。吸収の早さに驚いています。
ワークショップではみんなで映画を撮影しますが、本編だけでなくメイキング映像も作るようにしています。子どもたちが頑張っている様子を映像に収めて、本人や親御さんに見てもらう。完成した作品だけでなく、「みんなで一つのものを作った」「自分のアイデアを肯定してもらえた」「自分の意見を伝えられた」という経験そのものを、大切な思い出として持ち帰ってもらえたらと思っています。
2024年に地元の映画祭でワークショップを開いた時は、参加してくれた子どもたち一人ひとりに手紙を書きました。子どもの頃に「親以外にもあなたを見守っている大人がいる」と伝えてあげることが、私はすごく大きな意味があるような気がしているからです。後日、親御さんがお礼のメールをくださったんですが、「思春期の子どもと話す機会が少なくなっていたけれど、手紙をきっかけにワークショップのことをたくさん話してくれた」と書かれていて。親子の会話の橋渡しにもなれたのなら、すごくうれしいことですね。