(写真提供:Photo AC)
『虹の岬の喫茶店』や『おいしくて泣くとき』など、数々の心温まる名作を生み出した小説家・森沢明夫さんは、日頃の執筆の合間にスポーツクラブに通い詰めています。そこでは、風呂で滝行するおじさまやアンダーウェアのみの全身タイツなおじさまなど、ツッコミどころ満載の愛すべき利用者たちとの出会いがありました。今回は、森沢さんが遭遇した愉快な隣人たちと自らのトレーニングの日々を綴った『となりの筋トレ 小説家は見た!ジムの愉快な日々』より、一部を抜粋してお届けします。

やたら風変わりな出会い系

あなたは――、

電車のなかでとなりに座った「知らない人」に話しかけますか? 

喫茶店でとなりに座った「知らない人」に話しかけますか?

だいたいの人は、話しかけないと思います。とくに日本人は。

しかし、スポーツクラブという空間では、その常識が変わります。いきなり知らない人から話しかけられることはしばしばで、もちろん次に顔を合わせたときは「あ、どうも」なんて気安く挨拶を交わします。名前も知らないのに、なぜか「俺の知り合い」になってしまうという、じつに不思議な空間――それがスポーツクラブなのです。

数ある出会いのなかで最も「スポーツクラブらしい出会い」といえば、それはベンチプレス台の上で起こります。