(写真提供:Photo AC)
都内で夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なしのフリーランス生活を送る、元新聞記者の稲垣えみ子さん。50歳で会社を辞めたことをきっかけに「買わない生活」をはじめた稲垣さんは「私は『買わない』ことですべてを手に入れたのだ」と語ります。そこで今回は稲垣さんのエッセイ『買わない生活』より一部を抜粋してお届けします。

服に「追試」を課す作戦

いやはや我ながら、よくやったと思う。何しろ半月ほどの間に、持っている服の9割を処分することに成功したのだ。

もちろん、誠に大変なことであった。何しろ私、洋服選びには相当なエネルギーを費やしてきたので「ときめかない」服など1着も持ってはおらぬ。これはきっと私だけじゃなく、断捨離ブームの中にあっても「服が捨てられない」と悩む方が多いのは、似たような理由なのだろう。

なのでご参考までに、具体的に私がどう服を減らしたのかをお伝えしようと思います。

私が考えたのは、服に「追試」を課す作戦だ。

というのは、捨てるべきか、残すべきか。まさしくそれが問題なんだが、いくら頭をひねって考えたところで、結局は「いつか着るかも」という思いが湧いてきて前に進まないんですよね。なので、まずは何はともあれ着て出かけてみる。その上で、要るか要らないかを判断することにしたのです。要するに、服にラストチャンスを与えるというわけ。

大事なのはその「追試」の際、できるだけ注意深く、客観的に、その服と自分の関係をよーく観察すること。

やってみればわかる。着心地、サイズ、色、形……すべてにおいてストレスなく着られる服は意外なほど多くない。色はいいけど形が、とか、形はいいんだけどちょっと首回りのサイズが、とか、デザインはいいけどどうもチクチクする……などなど。そして、そうだった、だからあまり着ることなくタンスの肥やしになっていたんだよね。ってことは、これからもきっと着ることなく肥やしになり続ける可能性が高いに違いない……と気づくことになる。

このように、どこかに一つでもストレスを感じる服は落第。また、似たような服が複数ある場合は、同様にして実際に着て出かけて「一番似合う」ものだけを残す。