女性料理人の、素材を生かすたおやかな和食
「空花」――自然を大切にしたいとの思いがこもったネーミングのこの店は、2020年10月、鎌倉から移転したばかりの日本料理店。
地下鉄・神谷町駅から徒歩1分の場所にありながら、表通りから一本裏手の静かな佇まいは、隠れ家のよう。カウンターに茶釡を設えた店内は、こぢんまりとして茶室を思わせる静謐な雰囲気だ。
「旬の食材を取り入れ、各々の素材の持ち味を前面に打ち出したプレーンな料理を心掛けています」とは店主の脇元かな子さん。ミシュラン三つ星の和食店「かんだ」で6年間修業、銀座「アコメヤ厨房」では料理長を務めた実績を持つ。ここでは、鎌倉での経験も生かし、女性らしく細やかな料理を楽しませてくれる。
例えばお椀。椀種の蛤真薯のほかには椀妻の若布と吸い口の花柚子のみというシンプルさだ。その蛤真薯にしても、魚のすり身などは一切加えず中身は蛤のみ。一口啜れば、磯の風味が口いっぱいに広がっていく。
また、相模湾で獲れるサザエを丸ごと使った豪快な揚げ物や、白飯にぴったりの金目鯛の煮付けなど、三崎や佐島から毎朝届く魚介類も、鎌倉土産ともいうべき同店のスペシャリテの一つ。その味をランチでも楽しめるのは嬉しい限りだ。
空花
●東京都港区虎ノ門5-3-3神谷町プレイス1F
☎080・4071・0555
12:00~13:00(入店)、17:30~19:30(入店)日曜・祝日休、ほか不定休12席個室あり
●昼/6000円~夜/1万5000円~(税・サ別)
●アクセス/東京メトロ日比谷線神谷町駅2番出口より徒歩1分。地上出口の左側にある三菱UFJ銀行ATMを左折、突き当たりにある商業施設「神谷町プレイス」1F