「人と長時間一緒にいると、疲れてしまう」、「疲れやすくて、ストレスが体調に出やすい」。 そんなあなたは、今多数のメディアで話題のHSP=「繊細さん」という気質かもしれません。実は「繊細さん」は5人に1人いるとも言われています。専門カウンセラーで、自身もHSPという武田友紀さんが「人間関係がラクになる方法」をご紹介します。
現代では失われがちな「あいまいさに耐える力」
作家の燃え殻さんのエッセイが好きで、夜に娘が眠ったあと、美しいお菓子をいただくように、ひとつひとつ大切に読んでいます。
おばあちゃんとの思い出や、昔好きだった人とヴィレッジヴァンガードへ行ったこと。
1篇3ページほどのエピソードを読み進めるうちに、心が優しくかきまぜられ、「私にもそういうことがあったよ」と思い出がよみがえってきます。
仕事で相談者さんの強みをフィードバックしているからか、本を読んでいても作家さんの強みを分析してしまうのですが、燃え殻さんのエッセイから感じたのは「あいまいさに耐える力」でした。
自分に起こった出来事や関わった人たちのことを「あの経験は良かった/悪かった」とカテゴライズせず、複雑なものが複雑なままで保持されている。それは、現代では失われがちな力のように思います。
今の社会は次々に情報を処理しなければならず、複雑なものをそのまま受け止めようとすると、思考と心のキャパシティがものすごく必要になるからです。
容易にカテゴライズせず、踏み止まってあいまいさに耐える。これは、人間関係でも大切なものです。
「あの人はいい人/悪い人」と相手をどちらかに寄せることなく「いい部分も悪い部分もある」とまるごと引き受ける。それができると、自分とは違う価値観の人とも長期的に関わっていけるようになる。
私自身がそう学んだ出来事がありました。