イラスト:飛田冬子
人生後半に差しかかり、これからは本当にわかり合える友人と穏やかな関係を築きたい。でも、心を通わせるのが難しい場面もあって──。読者アンケートで寄せられたお悩みに、人生相談のプロがアドバイスします。今回は親の介護がきっかけでわだかまりができてしまった事例について、ノンフィクション作家の久田恵さんが答えます(構成=山田真理)

【相談】
親が介護施設に入ることを暗に非難された

私はフリーで仕事をしているのですが、友人たちは専業主婦がほとんど。この春、同居していた母が体調を崩し介護が必要になったため施設に入ることに。

ところが専業主婦の友達と会話をしていると、「自分の仕事を優先したいために介護施設に入れた」と思われているようで……。自分の選択を否定され、責められたような気分になります。

(64歳・専門職)

 

【回答】
同じ立場の人と話し、自分の選択に自信を

(回答者:久田さん)

私もフリーランスで働きながら子育てや親の介護をしていたので、専業主婦のママ友とは価値観が違うなあと思った経験は何度かあります。

仕事中に電話がかかってきて、「家にいるなら暇なんでしょ」と遊びに誘われたり。PTAの役員や少年野球の係も、仕事を理由に断ることはできなくて本当に大変でした。共働きがそれほど多くない時代だったから、保育園に預けていたことを「子どもがかわいそう」と暗に非難されたことも。

でも私がさほど悩まないで済んだのは、若い頃から続けていた人形劇団や仕事での仲間など、働きながら子育てする人とのつきあいが別にあったから。そうして両方の立場を知ることで、「専業主婦のママ友も、『子どもや親の面倒は、家にいる人がみるもの』という価値観にしばられて大変なんじゃないか」と想像して、うまく距離を保てたのかもしれません。