放送作家・コラムニストとして、数多くの著名人にインタビューし、コメンテーターとして活躍している山田美保子さん。意外にも、小さいころは引っ込み思案で話すことも苦手だったそう。そんな山田さんを変えたのは何だったのか。さまざまな出会いや、出会った人のアドバイスを通じて、今の自分があるという山田さんが、自分が楽になるコミュニケーション術を紹介する新連載。第2回は、「土居まさるさんのこと」です
自分の声に大きなコンプレックスを抱いて
小学校に入ってからの私はというと、相変わらず口下手で、おとなしく、授業中、先生からの問いの答えがわかっていたとしても、手を挙げられない子どもでした。
口下手というだけではありません。私は自分の声に大きなコンプレックスを抱いていたのです。いや、正直、自分で自分の声なんて、まだ認識していませんでした。なのに、出欠をとる時間、私が「はい」と声をあげると、前の席に座っていた女子が必ず後ろを振り返り、ニヤリと笑みを浮かべるのです。クラスでも抜群にかわいくて積極的な女子から毎日されるリアクションにより、私の声はどんどん小さくなっていきました。
もう一つ、物心ついた頃から右手の親指にあった小さなイボの存在をクラスメイトに知られたくなくて、人差し指でずっとそれを隠していたのです。右手だけだと変なので、左手も同じように“変形OKポーズ”のようにしていた私。それも同級生には絶対に知られたくない秘密でした。
今思えば、変なのかもしれなかった声も、小さなイボも、誰も注目はしていなかったと思うのです。でも、おとなしくて冴えない子どもの多くが自意識過剰であるように、私のそれも相当なものだったと思われます。