憧れの柚木麻子さん(左)と食事に!(写真提供◎ヒオカさん 以下すべて)
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第14回は「柚木麻子さんとの出会いと初対面のこと」です。

貧しても鈍さない、貧したら柚木麻子さん現る

書き手をしていると、反響が大きいとその分よからぬ反応も来て、時にズー―んと沈むことがある。

最初の頃は、ひとつひとつにいちいち反応して、傷ついてしまうこともあった。
(とはいってもまだ3年目。いまだに傷つくことはもちろんある)
あるとき、記事が大きな反響を呼んだことがあった。すると徐々に過激な嫌がらせもくるようになった。そうなると、共感や応援のコメントの喜びはかき消えてしまい、殻にこもって、怯える。そんな日々が続いた。

そんなある日。先輩ライターからメッセージが。

「ヒオカちゃんのあの記事、柚木さんがclubhouseですごい褒めてたよ」

ん?んんん???
柚木さんって…あの柚木さん?
これは夢なのだろうか。何度も画面を確認する。

柚木麻子さんは、小説でヒット作を次々に生み、直木賞候補にもなった売れっ子作家さんである。

なにゆえー?
私の記事を?読んでくれて?
褒めてくれてる?

その時期はclubhouseが流行っていた。ゲリラ的にトークルームが立ち上がり、招待を受けてそこに入ると会話が聞けたり、トークに参加できたりする。
そこで私は神出鬼没の柚木さんと遭遇する機会を伺うことにした。
知り合いの間でも、「柚木さんのclubhouseはどんなに忙しくても聞いてしまうくらいおもしろい」と話題になっていたので気になっていた。