股関節の正常な機能は、健康な生活の基盤となる重要なもの(写真提供:photoAC)
年齢を重ねるとともに股関節に問題が起きるリスクも高くなります。変形性股関節症や関節リウマチなど日常生活に大きな支障をきたす症状が身近に潜む一方で、40~50代の方には、違和感があっても病院に行かない方も多いと思います。東京大学大学院医学系研究科整形外科学の田中教授いわく「いつまでも元気に歩くためには、正しい知識を持って症状が軽いうちから養生することが大切」とのこと。今回は、そもそもの股関節の機能と、動きをよくする体操をご紹介します。

健康な生活に欠かせない股関節の機能

私たちが健康な生活を送るうえで、股関節に求められる機能とはなんでしょう?

まず、股関節の重要な役割としては、移動を支えることが考えられます。二足で直立し、歩くという日常動作は、股関節が正常に機能しなければ成立しません。そして、移動を支えるために、股関節に求められる機能は3つ考えられます。

1つ目は「安定性:関節が安定していること」。体重を支えたり、地面からの衝撃を受けたりするには、関節がしっかり安定していることが必要です。

2つ目は「無痛性:痛まないこと」です。股関節に痛みがあると、移動を制限せざるを得ません。

3つ目は、「可動性:思い通りに動くこと」。関節に変形があったり、筋肉の拘縮があったりすると、思い通りに動かせず、移動が困難に。ある程度の柔軟性を保つことも大切です。

これらの3つの機能は、相互に関連し合うもの。どれが欠けても、なにかしらの問題が生じます。このように股関節の正常な機能は、健康な生活の基盤となる重要なものなのです。