今までにないストーリーと、華やかな絵柄により、多くの読者を魅了してきた水野英子さん。手塚治虫をはじめ多くの漫画家が青春を過ごした伝説の二階建て木造アパート、トキワ壮で赤塚不二夫、石ノ森章太郎、藤子不二雄らと過ごし、少女漫画というジャンルを切り拓いたレジェンドの足跡と今は(構成:古川美穂 撮影:大河内 禎)
一人で飛び出した海外取材
――1967年に連載開始した『ブロードウェイの星』は、ミュージカル女優を目指す少女の話。オーディションなどを通じて主人公が成長する「演劇もの」の草分けとして評価してくださる方もいるようです。
私はこの作品で、アメリカの黒人差別を描きました。アメリカの差別反対活動は、すごくパワフルなんです。「俺たちは何が何でも権利を勝ち取るぞ」という気迫がある。
当時はベトナム反戦運動が起きて、フォークソングから、やがてロックのリズムによる反戦メッセージに移り、時代の動きも激しくなっていました。
当時のロックの歌詞は社会への反抗です。若者たちがロックを通じて発する疑念に、私自身の持っていた疑問が重なった。気づけば、のめり込んでいましたね。