101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活 のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「 簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがい っぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社) から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。
<100歳の100の知恵 71>
『イヤなことは忘れる訓練をする』
100年も生きていれば、当然ですが、いいこともあれば、悪いこともあります。
幼い頃に両親が離婚し、心満たされない子ども時代を過ごしましたし、戦争で婚約者を失いました。かなり気難しいところのある夫にも仕え、自宅で姑の介護も経験しています。
しかし私は、イヤなこと、つらかったことは忘れるようにしています。もう少し正確に言うと、忘れる訓練をしたのです。そうでないと、自分が救われないからです。
誰の心のなかにも、つらい思い出やイヤな記憶はあるはずです。でも、ことさらそれを取り出して、「私はこんな目にあった」などと負の感情を反芻しても、もやもやとしたイヤな気持ちが蘇るだけで、いいことなんかまったくありません。
イヤなことを忘れるというのは、訓練によってけっこう習慣になるものです。
私がこの歳でも日々楽しく、幸せに生きていけるのも、この訓練のたまものかもしれません。