「スウィングの女王」の貫禄

「セレナーデ」とは、クラシック音楽ジャンルの一つで、夜に恋人のために、窓の下で演奏する楽曲のことである。その「セレナーデ」のイメージによるオーソドックスな構成のラブソングである。

「ペニイ」とはアメリカの1セント硬貨のことで、ジャズソングに限らず「些細な」「ささやかな」という意味で使われる。ささやかなラブソングというニュアンスである。

藤浦洸の歌詞も「昨夜、淡き星影にさまよい…」と文語調のラブレター形式で、それまでのパワフルなシヅ子のジャズソングとはまた違った味わいである。

リズム・シスターズとシヅ子の掛け合いで「シ・シ・シ〜」とスペイン語の「Si」が使われているが、これがタンゴの原曲の名残りでもある。コーラスとの「Si Si Si」のやりとりが楽しい。

ギターが刻むリズム、2番に入る直前、「月の蒼き想い出に誘われて」に続くピアノソロがいい。そして間奏のフルートが続く。どこまでも優しく、心地良いサウンドである。

最後のコーダー部分のホットな演奏。まさに「小品」という呼び方が相応しい。

この曲もまた「スウィングの女王」の貫禄を味合わせてくれる。