学校は休学させて家に戻し、「赤ちゃんからやり直そう」と決めました。息子はしばらく他の家族に世話してもらい、できるかぎり娘と過ごしました。一緒に寝たり、お風呂に入って髪や体を洗ってやったり、2人で買い物に行って洋服や本を選んだりもしました。

精神科を受診すると、思春期に多い心の病気だと診断されました。幸い、学校も理解があり、焦ることなく休学し、一から育て直しをさせてもらえました。娘は少しずつ元気を取り戻し、無事復学できました。

その後、紆余曲折はあったものの、インテリア専門学校を出て、デザインの仕事に。20代後半で自分の事務所をかまえました。主にテレビ局の動画を制作し、バリバリ働いていました。自分の居場所を見つけたようで、生き生きしていました。

38歳のとき、専門学校の同級生と結婚しました。娘とは正反対の、穏やかで優しい人です。結婚と同時に「子どもを産んで主婦になる」と言って、スパッと事務所をたたみました。思いきりのよさは相変わらずでした。

でも、残念ながら子どもに恵まれず、友人の事務所でまた働き始めます。そうして43歳の頃、子宮頸癌が発覚しました。

『80歳。いよいよこれから私の人生』(著:多良久美子/すばる舎)