「お父さん、お母さんの子どもでよかった」という娘の言葉に、「私たちはずっと一緒におるよ」とこたえました。そして、主治医に鎮痛剤を打ってもらい、娘は穏やかに眠りにつきました。2日後に息を引き取りました。

46歳、太く短い人生でした。人の何倍も生きたのではないでしょうか。

結果はいいものではなかったけれど、娘にとっては幸せな最期だったと思います。自分の力で人生を切り開いていった娘は、「お父さんの庭を見ながら眠りたい」と、死に方も自分で選びました。

最期はつらかったです。そのときは、涙が出ました。でも、それ以降、涙は出ませんでした。後悔はありません。これ以上は私にはできないくらい、やり尽くしたと思います。

 

今でも、私の中で娘は生きています。「ずっと一緒にいる」と約束しましたから。

娘が元気だった頃、離れて暮らしていたときより、そばにいるように感じています。しょっちゅう娘と会話しています。料理をしていると、その辺にいるので、「味はどう?」と聞くと、「ちょっと辛いね」とか「おいしいよ」などと返事が返ってきます。

もちろん、本当の声が聞けたら、触れることができたらと思いますが、それはかなわないことだから……。

 

※本稿は、『80歳。いよいよこれから私の人生』(多良久美子:著/すばる舎)
の一部を再編集したものです。


80歳。いよいよこれから私の人生(多良久美子:著/すばる舎)

人気のYouTuber多良美智子さんの8歳下の妹、久美子さん。
昨年80歳を迎えた。決して「安泰な老後」ではない。息子は4歳で麻疹により最重度知的障がい者に。娘は早逝。85歳の夫はいつ介護が必要になってもおかしくないが、頼れる子どもや孫はいない…。
けれども、するべきことは全部やり終わった。忙しい人生だったが、今やっと自分のしたいことに使える時間がたっぷりできた。「もうこの年だから」を「この年だからこそ」に変える生き方。巻末に姉妹対談収録。