震える文字の遺書が

父は肺がんが見つかった時にはすでに末期、余命1ヵ月と宣告された。その後、病院の5階から飛び降り自殺。「カンニンなァ」と震える文字で遺書が残されていた。

世間的には病死で通したが、このことが喉に刺さった小骨のようにずっと心に引っかかっている。父の死の連絡を受けた日、青空に映える桜の花が美しかった。

ああ、世の中はなんにも変わらない。人間の悲しみなんて地球の動きのほんの一部。この時から私の人生観が変わった。
(父66歳、私39歳の時/無職・69歳)

 

意外な時に涙が溢れて

母の死はあまりにも急すぎて、悲しみに浸る間もありませんでした。別れの喪失感が襲ってきたのは3ヵ月経った頃。

友人の結婚式で花嫁の母がかいがいしく世話を焼くのを見て、初めて大泣きしました。自分が結婚する時にはアテンドしてくれる母親がいないんだ……と思って。
(母58歳、私30歳の時/会社員・44歳)

 

携帯電話に残された声

先月亡くなったばかりなので、まだ実感がわかない。だが、携帯電話に残された母の声を聞くと……。何でも話せる母はもういない。
(母78歳、私54歳の時/会社員・54歳)