その次の転機は27歳での結婚です。それまで“アニソン界最初のアイドル”として育ててもらってきたので、「早すぎる」「結婚したらゼロどころかマイナスになる」と周囲からは止められました。
でも、結果として、結婚したことは私にとって大いにプラスになりましたね。家庭というバックボーンができたことで安心して歌と向き合えるようになったし、ミュージシャンの夫からさまざまなアドバイスももらえるようになり、歌手としても成長できました。
声優の仕事に出会い新たな歯車が回り始めて
ただ、結婚後はアニメソングを歌うお仕事が減っていたのも事実です。でも、そんなときに「声優をやってみませんか?」と声をかけていただいて、『愛少女ポリアンナ物語』の主人公・ポリアンナの声を1年間やらせていただきました。
このポリアンナという女の子が、どんな逆境に置かれても「よかった探し」をする前向きな性格で。1話の間に「わぁ~い、よかった!」というセリフがそれこそ何十回も出てきます。その「よかった!」というセリフを1年間繰り返していたことで、『ちびっこのどじまん』のときに「暗い」と言われた私の性格もどんどん前向きになっていきました。言霊の力って、やっぱり大きいんですね。
それ以来、何ごとに対してもポジティブシンキングになれたし、ポリアンナ役をきっかけに声優のお仕事が増えていき、「じゃあ、主題歌も歌って」と、アニメソングを歌う機会にも再び恵まれていったのです。
37歳で一人息子に恵まれたことも、自分の世界を大きく広げてくれたと思います。音楽の世界で生きていくのは大変ですから、息子には特に音楽の英才教育はしなかったのですが、カエルの子はやはりカエルなのでしょうか。今年25歳になった息子はアルバイトをしながら、アマチュアで自分の好きな曲を作っています。