「世界の頂」を目指すコートの上で思うこと…
僕は日本代表のキャプテンとして東京オリンピックのコートに立ち、目標だったベスト8進出は果たした。
でも、時はコロナ禍(か)で、大会は無観客での開催だった。
オリンピックはどれほど熱狂する舞台なのか。
僕はまだ、満員の観客が押し寄せるオリンピックのコートに立った経験がない。
日本代表に選ばれた2014年、初めてイタリアのモデナに入ってセリエAを知り、バレーボールがこれほど熱狂するスポーツなのかということを現地で実感した。
そして、大学在学中の2016-2017シーズンと、2017-2018シーズンはラティーナ(現チステルナ)で、大学卒業後、2018年からはプロになり、シエナ、パドヴァ、ミラノとイタリアで9シーズンを過ごしてきた。
コッパ・イタリアや、セリエA1リーグのプレーオフ(リーグ戦上位8チームによる優勝決定戦)。
熱気に満ちた大舞台で、最高のパフォーマンスをする喜びも味わった。
1つずつステージが上がるたび、「次はこうなりたい」「こうしたい!」と新たな目標を立て、最大限の努力をして叶(かな)えてきた。
バレーボールを始めた小学生のころは、「日本代表になりたい」と考えたこともなく、オリンピックにも興味はなかった。
ただ大好きなバレーボールを全力で楽しみ、そのときどきの、さまざまな「頂(いただき)」を目標として、それを超えてきた。
そして、もう間もなくパリオリンピックが開幕する。
2024年7月、僕は「世界の頂」を目指すコートの上で、どんな思いを抱くだろうか。
※本稿は『頂を目指して』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
『頂を目指して』(著:石川祐希/徳間書店)
この夏、パリの舞台で、世界の頂へ挑む石川祐希の初の自叙伝。
18歳で代表デビューを果たして以来、10年かけて名実ともに世界に誇る日本のエースに成長したバレーボーラーの石川祐希。
高校時代から日本のトップを走ってきたが、国際舞台では悔しい想いも味わってきた。
本書は石川が、選手として、人として、これまでの人生の喜怒哀楽を初めて綴った自叙伝。
バレーボールとの出会い、中学時代の試行錯誤、イタリアでの武者修行、オリンピックの舞台、日本代表キャプテン就任。
これらのターニングポイントを縦軸に、心の在り方、体のケアやリラックス方法、家族、仲間への想いを横軸にして、今・過去・未来を綴っている。