生まれて初めて作った料理
体格が華奢だった父は終戦直前に招集され、山口県沿岸部の護衛部隊に所属しましたが、すぐに戻って来ました。
戦後、私が物心ついた頃のことです。
母は気苦労が多かったのかもしれません。何か持病があったのかもしれません。具合が悪く床に伏せることが多い人でした。
昔の家では、病人はお座敷に寝かせるのが常でした。
電燈には風呂敷を被せて薄暗くして。
7歳の私は、 母が心配で部屋を覗きに行っては戻り。
ねえやは故郷に戻されたし、お嬢さん育ちの祖母はまるで家事ができない人です。父も皆目できません。
そこで私は蒸した、ほかほかのご飯を母に持って行きました。
どこかで「蒸す」という調理を見たのでしょう。
とにかく(あったかいものを食べさせなくては)と子ども心に思ったのだと思います。それが、私が生まれて初めて作った料理です。