若者への教訓画
夢の中で騎士は迷っているのだろう。
いや、現実に迷っていたからこそこんな夢を見たのだろう。
快楽と富裕が約束された生活を送るか、文武両道の騎士となるべく厳しい研鑽(けんさん)を積むか。
楽な道か、過酷な道か。これは若者への教訓画でもある。
似たような状況で主人公だけが別人、という絵を、イタリア人画家アンニーバレ・カラッチが『分かれ道のヘラクレス』で描いている。
ギリシャ神話の英雄が「悪徳」と「美徳」の間でしばし迷う図である。
日々刻々決断を下さねばならない戦士こそ、このテーマの主人公にふさわしいと思われているのだろう。