小さい頃に書いた台本から生まれたのが…
幸四郎 「何かアイデアを思いついたら、書いておいてね」とは、いつも言っているよね。将来、必ず発展させて上演する日がくる。そういうふうにつながるものだと思うから、残しておいたほうがいいよ。
染五郎 はい。書くことは好きです。
幸四郎 僕も、「こんなことができたらいいな」「あんなことがあったら面白いな」と想像していたことを形にしてきたようなところがある。じゃあ、実現させるにはどうしたらいいのか。
年齢を重ねるとともに、第三者にいかに理解してもらうか、あるいは説得するかといった、現実的なことを考えるようになる。その時、5年前、10年前に書いたものが、すごく支えになるんだ。実際、染五郎は小さい頃から台本を書いていたね。
染五郎 小さい頃に書いた台本から生まれたのが『ぼん&ボン吉』という、僕が小さい頃から大事にしているぬいぐるみが演じるお芝居。妹と一緒に自宅稽古場で披露して。
幸四郎 劇団「犬丸座」は染五郎が代表で、妹のくんちゃん(薫子さん)が支配人なんだよね。看板役者はぬいぐるみの松本ぼんざえもんと松本ぼんのすけ。
染五郎 いつか一から新しい歌舞伎を創りたいという思いで、今もいろいろとアイデアを書き続けています。
幸四郎 将来それが実現する時には、僕も出してもらえるかなぁ。まぁ、“作家”からの出演依頼があれば、だね。(笑)