内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人の死因では、老衰を除けば悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患が多くなっています。そうした状況のなか、高齢者の異状死の特徴を研究しているのが、法医学者の高木徹也さんです。今回は高木さんの著書『こんなことで、死にたくなかった: 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
社会が変われば病気も変わる
高齢者に多い病気と聞いて、何を思い浮かべますか? 「がん」と答える方も多いと思います。
たしかに厚生労働省の統計を見ると、男女ともに50代になるとがんになる人の割合が高くなり、高齢になればなるほど診断される人は増えています。
1960年にがんで亡くなった人のうち65歳以上の割合は、男性43.6%、女性41.0%でした。
それが2012年になると男性84.2%、女性81.3%と、約2倍に増えており、がんで亡くなる人のうち、高齢者が多くの割合を占めるようになっています。