座っている時間が8時間を超えるとがんが増える

体を動かさないと、がんになるリスクが高まることは、さまざまな研究で明らかにされています。

京都府立医科大学などの研究チームが、日本人女性に比較的多い乳がんと、座っている時間との関連を調査したところ、1日の座っている時間が7時間以上の女性は、7時間未満の女性に比べて、乳がんになるリスクが36%も高いことがわかりました。

一方、中之条研究では、座っている時間(身体活動量がゼロの時間)が8時間を超えると、さまざまながんになりやすいことがわかっています。

1日に8時間座っているということは、ほとんど体を動かしていないことになります。

また座っている時間が長いということは、家事などによる中強度活動の時間も少ないと想像できます。

中之条研究では、1日あたりの歩数と中強度活動時間に対する病気の関係のグラフ(下図)のように、7000歩/中強度活動15分を超えると、がんの発症リスクが大きく下がることが明らかになっています。

<『すべての病気が防げる長生き歩き』より>

座っている時間が長く、がんになった人は、歩数や中強度活動時間がこのレベルに達していなかったと考えられます。

日本人は座っている時間が長いといわれています。世界20カ国における平日の座位時間の中央値ではもっとも長く、1日あたり7時間も座っているというデータがあります(厚生労働省、リーフレット「座位行動」)。

座っている時間が長いと寿命が短くなることもわかっています。前述の京都府立医科大などの研究によると、1日9時間以上座っている人は、将来明らかに死亡リスクが高くなるようです。

自分の生活習慣を振り返って、座っている時間が長いのであれば、立ち上がって動くことを心がけましょう。

 

※本稿は、『すべての病気が防げる長生き歩き』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

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