血流をよくするためには?(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

 

日本人の生活と切り離せないお風呂。「湯船につかるのは、世界一簡単な健康法」と話すのが、これまで7万人を超える入浴習慣を医学的に調査してきた「入浴のスペシャリスト」温泉療法専門医の早坂信哉先生です。先生曰く、知っていそうで意外と知らない「正しい入浴方法」があるそうで…。今回はその早坂先生の著書『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』より、一部を抜粋して紹介します。

人は血管から老いていく

さて、血流をよくするには、通り道である血管も健康でなければなりません。ところが、血管の老化は知らないうちに静かに進み、気づいたときにはすでに症状が深刻化している……。そんなケースが少なくありません。

血管が老いると、まず硬くなり、血液の通り道が狭くなって流れが悪くなります。「動脈硬化」と呼ばれる状態です。進行すると血圧が上がり、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気につながるおそれがあります。

血管から始まった老化は、やがて全身に広がっていく─。

でも、ご安心ください。入浴が血管の老化のスピードをゆるやかにしてくれるからです。

それには「一酸化窒素(NO)」という物質を体内で増やすことが有効なのですが、湯船で10分温まるだけで血流が大きく改善され、NOの産生が促進されることが明らかになっています。

入浴前後の血液を比較した実験でも、入浴後には血中NO濃度が増加することが確認されています。