長年当たり前のようにやってきたことが、思いがけず人の役に立つことがある。誰かに喜ばれる経験を経て、ますます自分の毎日が面白くなった……そんな3人の女性に話を聞いた(撮影:藤澤靖子)
女学校のような作業風景
海沿いの古い小学校をリノベーションした「浦安市まちづくり活動プラザ(千葉県)」の一角に、「ファイバーリサイクルうらやす」(以下「ファイバー」と略)の活動拠点はある。
日本の繊維製品のリサイクル率は1割程度。9割はゴミとして捨てられたり、タンスの肥やしになっているそう。「ファイバー」では市民の手で回収ルートを作り、繊維リサイクルを進めている。
金曜日の午後。作業中の部屋を覗くと、10人ほどの女性たちが大きなテーブルを囲んでいた。机上には色とりどりの布や裁縫道具。
ミシンをかける人、布草履にするために古い着物を裂く人、鼻緒を作る人、巾着を縫う人。「ここは何センチ?」「こっちの色のほうがいいと思うわ」と、それぞれ楽しそうに手を動かし、会話しながら作業する様子は、女学校の家庭科実習のよう。ただし平均年齢は70代だ。