目下のテーマは母を笑わせること

もがいた経験で言うと、母の介護もですね。現在83歳になる母は、2000年に脳出血で左半身麻痺になりました。その後も乳がんが見つかって片側の胸を全摘したり、19年にはステージ4の肺がんで余命3ヵ月の宣告を受けたりと、大変な状況が続いています。今は治療の甲斐あってステージ2に下がり元気ですが。

介護が始まった当初は、実家のある札幌に暮らす弟夫婦が面倒を見てくれていましたが、弟の精神的な疲れがピークに達してしまって。母は母で、息子にはしてもらいたくない介護もあるようで、4年前に母を札幌から東京に呼び寄せました。

母と娘なら言いたいことを言い合えるので気楽ではあるのですが……。母は脳出血による後遺症で認知障害もあり、一度ネガティブな感情に火がつくと手に負えません。正直、同居を始めた頃は慣れない介護と相まってとにかくストレスフル。でも今は、忍耐を培うための修行だと思えるようになりました。

私が見つけたコツは、「ありがとう」と「ごめんなさい」は1秒以内に伝えること。つい言いすぎても「ごめん! お腹が空いてました!」とすぐに謝れば、お互い笑ってしまうでしょう。目下のテーマは、いかにして母を笑わせるか。先日も「ママ、今度イケメン連れてこようか?」って聞いたら、「連れてこなくていいよ~」と言いながらもニコニコ。まんざらでもない。(笑)

そして車椅子に座る母と話すときは、母の目線の高さに合わせます。以前、母と一緒に藤原紀香ちゃんの写真展に行ったとき、紀香ちゃんが母の車椅子の前でしゃがみ込むようにして「ママ、元気ですか?」と話しかけてくれて。すると母が見たこともない嬉しそうな顔をするからビックリ! それからというもの、私もマネして実践しているのです。

現在、母は私の家からスープの冷めない距離にある施設に入所しています。自宅での介護を一通りしたら、重度障害者の母の世話を素人の私が行うのは本人にとってもつらいことだとわかりました。

頑張りや根性論ではなく、母にとっての最善を考えて結論を出しました。最初は寂しいと納得しなかった母も、私が「毎日行くし、お金を払ってると思ったら何でも頼めるでしょ」と言ったら、「そうだね」って。私たち、単純家族なんです。(笑)

49歳のときに夫と別々の道を歩むことを決め、そして心新たに迎えた50代。これまで山あり谷ありだったのだから、これからの人生も何かが起こるはず(笑)、でも怖くはありません。人って、“苦難”という向かい風は厳しいと嘆くけれど、パッと向きを変えれば追い風に変わるじゃないですか。本当に苦しみの極致と向き合えば、遠回りでも案外楽しいと思えます。やれることはすべてやろうよって、自分が自分に力を与えてくれる気がするのです。

2019年末に、「50th/50try」と題して2020年の目標を書き出してみました。バースデーライブで50曲歌うとか、YouTubeでチャンネルを開設するとか……。一つずつ実行に移して弾みをつけ、人生の後半戦も溌剌と歩んでいきたいと思っています。