サイレンがこちらに近づいてくる音や、受け入れ先が決まらないのか周囲がざわざわしていたことを断片的に覚えています。どれくらい時間が過ぎたのかはわかりません。救急車が動き出し、「緊急手術!」という声が聞こえたのを最後に私は意識を失いました。
目覚めたのは丸1日半が過ぎたころ。傍らにいた夫と息子によれば、手術にはなんと7時間半もかかったのだといいます。
「あれ? なんでいるの?」
と、関西にいるはずの息子に尋ねると、夫から連絡を受けて飛んできたのだとか。2人でまんじりともせず手術が終わるのを待っていてくれたと聞き、申し訳なさと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
容体は安定し、数日後には個室へ移動。そこで主治医から、私の病状と手術後のケアなどについて説明をしていただきました。告げられた病名は、「大腸がんのステージII」。今回の手術で悪性の箇所を切り取ることができたのはよかったけれど、これからは人工肛門をつけての生活が必要だと言われました。
この数日間、自由に体を動かせなかった私は、すでに手術が済んでいることに気がついていませんでした。医師が私の手を腹部のわきに持っていってくれて、はじめて人工肛門が装着されていることを知ったのです。生活が一変したことへの不安と悲しみに、ただただ涙が止まりませんでした。