相棒とともに憧れの舞台へ

「ストーマ」と呼ばれる人工肛門が、私の体を助けてくれていることは理解していたのです。ただ、しばらくはおなかに器具をつけて生活することへの違和感がぬぐえず、時間をかけてだんだんと納得し、受け入れていったように思います。これから一緒に生きるのだからと、ストーマを「マメちゃん」と名づけ、体の一部だと思おうと決意したのです。

主治医は、「マメちゃん」という私の名づけに大笑いしたあと、退院後のことを話しましょうと言ってくださいました。そこで私は、「実は今年のクリスマスに、夫と息子には内緒でとある演劇に出演者として応募している」と打ち明けたのです。「あと半年で舞台に立てるまで回復できるでしょうか?」と聞くと、「参加できるように頑張りましょう!」と。こうしてリハビリの目標が定まりました。

投薬、リハビリとスタッフの方に支えられ、体は少しずつ回復へ。退院までの2ヵ月間、夫は毎日決まった時間にお見舞いに来てくれました。気恥ずかしいですが、その様子は、「これは2回目の恋愛?」なんて思うほど。

夫に演劇のことを話すと、「目標ができていいことだね」と励ましてくれました。数日後、いつもの足音が聞こえてきたと思えば、入室するなり「朗報だよ!」。聞くと、私の体でも演劇に参加してよいと劇場の担当者から許可が下りたと言うのです。

口下手な夫が私のために問い合わせてくれて嬉しいやら、オッケーが出てほっとするやら。涙とともに思わず相棒のマメちゃんにも「一緒に、舞台に立とうね!」と報告していました。