「親の介護なんてまだまだ先のこと…」と思っていても、認知症の発症や転倒による骨折、入院がきっかけで【介護は予期せぬ形で始まる】ことが少なくありません。日本は介護制度が充実していますが、いざというとき、適切に利用するためにも介護サービスの種類や手続き方法などを知っておく必要があります。医師である著者・柴田元さんが、いざ直面した時に必要となる介護の基礎知識をまとめた著書『親の介護を考え始めたら読む本』より、一部を抜粋して紹介します。
地域包括支援センターの高齢者と家族支援の実際
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護についてなんでも相談することができますが、実際のところ、どのように利用したらいいのか分からない、という人はまだまだ少なくないようです。
実際に私たちの地域包括支援センターを過去に利用した人たちも、相談の内容はさまざまでしたし、それに対する支援策、関係する専門職、支援にかかる期間などもケースによってずいぶん異なりました。
こうした事例を知ることで地域包括支援センターの実際の支援状況について知ってもらえると思います。
もちろんすべての事例で相談者が100%満足のいく結果を提供できるわけではありませんが、地域包括支援センターに相談してもらえば、必ずなんらかの支援へとつなぎます。
行政機関というと一般市民には対応が良くないイメージをもつ人もいるかもしれませんが、地域包括支援センターでは「うちでは対応していない」などと窓口に来た人を追い返すようなことはありません。
センターで対応が困難なときは、代わりの支援窓口を紹介しますし、相談者が次のアクションをとれるように、具体的に情報提供を行います。
ですから悩みや聞きたいことがあれば、いつでも安心して相談に来てほしいと思います。