からだに不調を感じているならば、心にも原因があるはず。気分がふさいでつらいなら、からだの栄養不足や機能不全が隠れている可能性がある。

私はそんなふうに捉えて、表層の症状だけをピンポイントで治すのではなく、心身の症状を見定めて適した漢方を処方し、さらに生活習慣を見直していただくことで心とからだのバランスを整えていきます。そうして、患者さんの悩みに向き合い続けてきました。

漢方薬には、からだの中の「気(き)(エネルギー)」、「血(けつ)(血流)」、「水(すい)(水分)」のバランスを正常に戻す働きがあります。その結果、不眠や不安といった心に不調を招く原因が次第に取り除かれていく。

時間をかけて心身の両方を健やかな状態に整えていくので、その人が本来もっている自然治癒力も少しずつ高まっていくんですよ。残念ながら、心身の不調にすぐに効く頓服薬はありません。おつらいかもしれませんが、焦りは禁物です。

来院してくださる皆さんに必ず申し上げるのは、「大丈夫、きっとよくなりますよ」ということ。ときには、「先生に何がわかるんですか?」と叱られることもありますが(笑)、こればっかりは本当だから譲れません。

ご自身でも「大丈夫、きっとよくなる」と声をかけ、自己治癒力を信じて、ゆっくりと生活習慣を見直すことが大切です。