「ミラクルアビーとミラクルボーイ」(c) Seiji Fujishiro Museum2025

子ども時代に戻って毎日、絵に夢中

社会が激動するなかでも、僕はずっと絵や人形劇、影絵を続け、それが活動のベースになりました。結局、青春時代から今まで、本質的に何も変わっていないんだね。最近は感覚的にはむしろ、子ども時代や学生時代に戻っているような気がします。

絵を描いていると、お金がどうとか暮らしがどうとか、もうそんなことは関係なくなっちゃう。今年も展覧会がありますけど、展示内容をどうするかは、まわりのスタッフにお任せしています(笑)。僕は、展覧会のために作品を描くんじゃなくて、ただ夢中になってるだけ。

たとえば猫の絵を描きながら、猫と繋がっているというか。ともに生きて、呼吸している感じかな。自然の中で、自分が感じたすばらしさや厳しさ、美しさ、楽しさもあるし、驚きみたいなものすべてを、光と影で見せたい。

戦中、戦後といろいろなことがあって、借金を抱えたりしたこともあったし、自分はそんなに長生きしないだろうなと思っていました。でもこうして101歳になっても生きていて、毎日、夢中になって絵を描いている。

僕にとって「生きる」というのは絵を描くことだし、絵を描くことが「生きる」こと。それは、これからも変わらないと思います。

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