42歳の時の転身
外科部長というのは管理職であって、外科の成績を上げたいから、手術をしなくていい患者に対しても「手術をしろ」となる……。
いずれ緩和ケアの分野に行こうとは思っていましたが、「だったら50歳を過ぎてから行くよりも、早めに行こう」と、えいやっと外科をやめました。42歳の時の転身です。
その後、高崎市にある「いっぽ」という在宅緩和ケア診療所に9年間勤務し、2017年「緩和ケア萬田診療所」を開業しました。がん患者さんを専門に外来診療・訪問診療を行う診療所です。
終末期に自宅で暮らしたいという患者さんのサポートをするため、よく「緩和ケアの専門医」という呼び方をされるのですが、「専門」ではありません。
診療の手段の一つとして緩和ケアを行っているのです。ですから、呼び名を求められれば、「在宅緩和ケア医」ということにしています。
今の僕のしている仕事を見て、群馬大の先輩の中にも、「天職だよなあ。あの頃からそういうことやってたもんな」と認めてくれる人がいるのは、先ほど書いた通りです。