34年間の医師生活で確信を得たこと

なぜこんな方針になったのか。それは僕が、34年間の医師生活で「人間は歩けるうちは死なない」という確信を得たからです。

初めての診察で、患者が「歩けない」と言うようなら、僕はこんな言葉をかけます。

「そんなんじゃ死んじゃうよ。歩けないの?がんばれないようなら、そろそろ……だね」

「寿命は自分で測って。寿命ってどれくらい歩けるか、どれくらい立っていられるかなんだから、測れるんだよ。ちょこちょこ歩きじゃそろそろだね」

「がんばれる?がんばって歩けるようになれば寿命が延びるよ」

診療というより、やっぱり「萬田道場」がしっくりきますよね。

 

※本稿は『棺桶まで歩こう』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

 

 

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棺桶まで歩こう』(著:萬田緑平/幻冬舎)

「歩けるうちは死にません」「抗がん剤をやめた方が長く生きる」「病院で体力の限界まで生かされるから苦しい」「認知症は長生きしたい人にとって勝ち組の証」「ひとり暮らしは、むしろ楽に死ねる」など「延命より満足を、治療より尊厳を」という選択を提唱。

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