親と子の関係性
近年、親子間におけるスマホの使用実態について関心が高まっています。
そうした中、セゾン自動車火災保険が実施した年代別のスマホ依存に関する実態調査(*2)は興味深い内容となっています。
この調査では、一日のスマホ使用時間について親と子の関係性に着目しています。
一日のスマホ使用時間について調査したところ、親の利用時間が一日3時間未満だった場合は子どものスマホ使用時間も3時間未満が多くなり、逆に一日3時間以上だった場合は子どものスマホ使用時間も3時間以上が多くなりました。
また、親が一日5時間以上スマホを使っている場合、「子どものスマホ使用時間は一日30分未満」と回答した人は一人もおらず、一方で親が「ほぼ一日中使っている」場合、子どもも「ほぼ一日中使っている」割合は40%と非常に高くなったのです。
つまり、親子のスマホ利用時間の長さには、明らかな相関関係があると考えられるのです。子どもが幼い頃から一番長い時間をともにする身近な大人は両親であり、両親は子どもにとってのロールモデルとなります。両親のスマホ利用の実態を日々目にすることで、それが当たり前のこととして刷り込まれていくというわけです。保護者がいいお手本としてスマホに振り回されずに過ごせているかどうかは、子どもにとっても大きな意味を持つのです。
iPhoneが登場したのは2007年、日本で発売開始となったのは2008年のことです。それから17年経ち、Z世代はスマホがある中で育ってきました。スマホ中毒は若者の特権などではなく、親世代の中毒ぶりも学校ではよく問題となっています。
「うちの親がスマホばかり見て私の話を聞いてくれないんです。聞くように言ってください」と、講演で女子小学生から言われたことがあります。
ある男子小学生からは、「うちの親、俺には『食事中はゲームをやるな』と言うくせに、自分(親)はやっている。注意したら、『大人はいいの』って。ずるいよね」と不満そうに言われたこともあります。
ある学校では、「友達の動画を、保護者が本人の許可なくYouTubeに全体公開し、大きな問題になりました。学校側が注意しても『何が悪いんですか?』と開き直るばかりで……。そのような保護者のもとで育った子どもは、やはり学校でも様々なトラブルを起こす傾向があります。最近は、こうしたケースが増えており、今や“親への教育”が必要な時代だと感じます」との声が上がっています。
「親は自分よりスマホが大事」「大人になったらスマホは使い放題」というメッセージを受け取った子どもが、スマホにハマらないわけがありません。スマホは誰もがハマる面白いもので、こっそり使えば使ってもいいという考えに至ってしまうのは、当たり前のことなのです。
このような事態を防ぐためには、保護者自身がリテラシーを高め、スマホの利用をうまくコントロールする必要があります。保護者自身が、子どもに使ってほしい使い方をすべきなのです。
食事中に使ってほしくないのであれば、自分も使わないこと。決して言い訳せず、仕事の連絡もせず、スマホはおいて、子どもの話を聞く時間に充てるべきなのです。
一緒に読書をしたり、運動したり、スマホ以外の時間の過ごし方の手本を示して、ともに楽しむべきなのです。