夢は「ウルトラマンになること」(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

 

「寝たきりになってまで長生きしたくない…」そんな不安を抱える高齢者が増えています。2000人以上を看取った在宅緩和ケア医・萬田緑平先生は、【延命より満足、治療より尊厳を】と提唱。必ずしも「医療を拒否する」のではなく、その向き合い方を考えながら、どうやったら最期まで自分らしく幸せに「生ききる」ことができるのか。萬田先生によると、そのヒントは「歩く」ことにありました。著書『棺桶まで歩こう』より、一部を抜粋して紹介します。

4歳でウルトラマンと会い、そして死す

青木一馬くんの夢は「ウルトラマンになること」。「ウルトラマンカズマ」です。

2018年11月、3歳で急性リンパ性白血病を発症。一旦は寛解したものの、翌年4月に再発。両親は、医師チームから「余命半年」と告げられました。

さらにその後、医師から「数日の命かもしれない。会わせたい人に会わせてください」と言われたのです。

両親は、難病と闘う子どもたちの夢を叶える「メイク・ア・ウィッシュ」というボランティア団体に連絡しました。なんとか一馬を、ウルトラマンと会わせてあげたかったのです。

円谷プロが快諾し、一馬は病室でウルトラマンとウルトラマンティガに会うことができました。