「お別れ」なんだと悟った

すると、一馬の妹ユリナが割り込んできて、「ユリナのことは大好き?」と聞きました。

「大好きだよ。だって一人になって寂しいじゃん!」

大人はさらにびっくりして、またも涙……。やはり、これは「お別れ」なんだと悟ったのです。

みんなに「大好きだよ」と伝えた一馬。後に「この時の一馬は大人みたいだった」と、みなさん語っていました。

亡くなる前日のその時、一馬はウルトラマンになっていたのでしょう。

その日一馬は、「もう、ダメだ」を繰り返していました。その言い方はまさに大人のようでした。

翌日、一馬は「愛しているよ」「パパとママの子どもでありがとう」という両親の声を聞きながら旅立ちました。

4歳の一馬が、みんなに感謝を伝えられたのです。すごい人生です。

死亡診断書を書く時、僕は父親に聞きました。

「死亡診断書は青木一馬でいいですか?」お父さんはこう答えました。

「そうですね、地球の名前でお願いします」僕は結局こう書きました。

〈死亡診断書名 青木一馬カルテ名 ウルトラマンカズマに変更(変身)〉

 

パパとママの子どもでありがとう(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)