「老化が進みそうだから、糖質はなるべく控えている」「糖質を我慢すれば脂質はたくさん食べてもいい」といった意見を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、同志社大学生命医科学部の糖化ストレス研究センターで「糖化」の研究をしている客員教授の八木雅之先生は「『糖質=毒』と決めつけるような風潮が広まりつつあるが、糖質だけが糖化(老化)の原因ではない」と話します。そこで今回は、八木先生の著書『最新科学でわかった 老けない食べ方の新常識: 糖化博士が教える若返り46のコツ』から、老化を防ぐ食べ方のコツを一部ご紹介します。
「ベジタブル・ファースト」を検証
「ベジタブル・ファースト」という食べ方が話題となったのは、日本糖尿病学会誌『糖尿病』(2010年5月号)に掲載された2本の論文がきっかけでした。
これらの論文では、白ご飯を食べる10分前に野菜サラダをとると、血糖値の急上昇が抑えられるという結果が示されていました。
そこから「食事の最初に野菜を食べるのが正解」という情報が広まり、ダイエットや糖尿病対策の定番となっていきました。
私たち研究者にとって、流行の健康法を科学的に検証するのは大切な使命です。
そこで、「野菜を先に食べるだけで本当に血糖値は下がるのか?」を確かめるため、千切りキャベツを使った実験を行ないました。
被験者は20代の健康な男女10名。「白米のみ」「白米+キャベツ50g」「白米+キャベツ100g」の3パターンで血糖値の上昇を比較しました。
キャベツは白ご飯を食べる5分前に摂取しています。結果は、なんと3つすべてがほぼ同じカーブを描き、血糖値変動曲線に大きな差が見られなかったのです。
一方、同様の実験を30~40代の健康な男女に行なったところ、血糖値のピーク値が20mg/dLも抑制されるという結果が出ました。