親に対する思い

また配偶者だけでなく、親に対する思いを長く引きずる人もいます。

親との確執や葛藤は単なる過去の出来事として終わるわけではなく、その後も長い期間にわたって心のなかに影響を残すことも少なくありません。

『医師しか知らない 死の直前の後悔』(著:和田秀樹/小学館)

たとえば、親の介護や死によって子どものころの心理的な負担がよみがえり、新たな怒りや悲しみ、ストレスの原因になることもあります。その結果、高齢期になっても、子ども時代の確執や葛藤を抱え続け、親への怒りや恨みから抜け出せない人もいます。

私のもとにも、そうしたことを面と向かって相談される患者さんもいれば、ネット経由で長文の不満を送ってくる人もいます。

診察したことがない人にアドバイスはできませんから、事務所からメールで丁寧にお断りしていますが、こうした悩みを抱える人も一定数いるのが現実です。

もちろん、それぞれに辛さや苦しみがあるのだろうと思います。

ただ、怒りや恨みを抱え続けることは、何より自分自身にとって「損」なのです。いつかはそのことに気づいてもらいたいと思っています。