人と人とのつながりをいかに作れるか

タイカンの建物は、決して豪華絢爛というわけではありません。一つひとつのつくりは、むしろ「学校」に近い雰囲気です。

しかし、多くの富裕層もお金を投じます。その理由は、高齢者にとって「コミュニティ」や「エンターテインメント」が何よりも必要なものだからです。

(写真提供:Photo AC)

これには、日本の多くの高級高齢者向けレジデンスも学ぶべきものがあります。ただシャンデリアや豪華な設備をつくれば良いということではない。人と人とのつながりをいかに作れるかが何よりも求められています。

高級というと、一人当たり面積を広く取ることが重要に感じられますが、むしろ高齢者においては少し狭く、人と人との距離が短く感じる瞬間も大事なのかも知れません。

「今、日本からお客様が来てるわよ。部屋に連れて行ってもいいかしら」

急遽、ご夫婦の部屋に案内いただくことになりました。部屋を訪れると、決して広いとは言えない1LDKの部屋でした。しかし、そこにはタイカンらしさが詰まっています。

「これはタイカンパスポートというの。私たちがどこでどんなアクティビティをしたのか、全てわかるようになっているのよ」

「これは、私たちの結婚記念日に、タイカンがプレゼントしてくれたもの。今更夫婦で祝うこともないし、こうした気遣いをしてくれることが嬉しいのよ」

タイカンでの夫婦生活について語る二人には満面の笑みが見られました。むしろ、ご自宅で過ごされていたとき以上に仲が良くなっている、そんなことをおっしゃっていました。

「私は、大学に勤めていたとき、何度も日本を訪れた。これがその時の写真だよ。本当によくしていただいて、日本人が大好きだ。今日は来てくれて嬉しい」

部屋の隅々から思い出の写真を出して、嬉しそうにそう語ってくれました。日本ではあまり見ることのできない、高齢者の至高の幸せをそこで感じました。とても「介護施設」とは思えません。

ただ実際には、こうしたコミュニティの裏では看護師や医師が常駐した医療体制も完備されています。入院体制もあり、終のすみかとしての機能も完璧です。

しかし、特にお元気な方においてはスタッフが大きく介入することはなく、むしろ入居者同士のコミュニケーションに委ねている様子でした。まさに「高齢者を高齢者扱いしない」空間が広がっています。

そんな中国でも、日本の高齢者サービスへのリスペクトを持っています。先進国として、ハードウェアだけではなく、ソフトな関わり方の観点でも、学ぶことは多いと聞きます。

日本は今まで高齢化先進国として、独自のやり方をつくってきました。うまく行っていることも多数ありますが、課題も山積している状態です。世界から注目されているからこそ、今一度、日本は海外から学んでもいいのかも知れません。そうして、世界が真似をしたいと思える「KAIGO」をつくること、これが私たちに求められているのでしょう。